2022.07.15
うま味の相乗効果とは?だしや食材の活かし方もチェック!
こんにちは!食と健康をサポートするリセライーツの椿本です。
「いつもの料理をもっと美味しく作りたい!」そう感じたことはありませんか?
そんな時におすすめなのが、うま味成分を含んだ食材を組み合わせること。
実はうま味成分には種類があり、異なる種類同士を組み合わせることで、単体で食べるより何倍も美味しく感じることができるんですよ。
今回は、そもそもうま味成分とは何かという基本から、うま味の相乗効果の活用方法について詳しく解説します。
うま味成分が含まれている食材や、うま味を多く含む「だし」についてもご紹介しますね!
目次
うま味とは?まずは基本から解説!
「うま味」とは、「基本味」とされる「甘味」・「塩味」・「酸味」・「苦味」と同じ、味の1つです。
料理にコクや深みをもたらす「うま味」は、4つの基本味を混ぜ合わせても作ることができない、独立したものと考えられています。
この「うま味」は、1908年に東京帝国大学の池田菊苗博士が発見し、日本の10大発明の1つとなりました。
今では、世界中の人々に「UMAMI」という言葉で浸透し愛され続けています。
ここでは、うま味成分を構成する代表的な「グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸」についてと、それぞれの物質を含んだ食材をご説明します。
グルタミン酸(アミノ酸系)
実は、赤ちゃんが初めて口にする母乳や、羊水にもグルタミン酸が含まれています。
人間は小さなときから、自然とうま味を取り込んでいるんですね。
私たちの身体の中でも日々グルタミン酸は作られており、「鬱の改善」や「脳の代謝を促す」といった神経情報伝達の役割を担っています。
ほとんど全ての食材に存在するグルタミン酸ですが、昆布などの海藻類、大豆を使った調味料の醤油や味噌、チーズ、野菜類に比較的多く含まれていると言われています。
100gに対して、昆布には200〜3400mg、醤油には400〜1700mg、味噌には100〜700mg、チーズには180〜2220mg、トマトには150〜250mgのグルタミン酸が含まれています。
イノシン酸(核酸系)
イノシン酸は、魚類や肉類、煮干しやかつお節に多く含まれています。
加工状態によっても含有量は異なり、かつおの持つイノシン酸が100gに対して130〜270mgであるのに対し、かつお節は470〜700mgと倍以上の量が含まれています!
うま味が凝縮されるため、だしとして使っている方も多いですよね。
グアニル酸(核酸系)
イノシン酸と同じ核酸系のグアニル酸は、主に干し椎茸などの乾燥させたきのこに多く含まれています。
椎茸は干すことでグアニル酸を発生させます。
実は、生の椎茸にはグアニル酸は含まれていないんです!
きのこ以外にも、海苔には100gに対して3〜80mgのグアニル酸が含まれています。
うま味の相乗効果とは?食材の組み合わせ方やメリットも紹介
うま味は熟成させることでさらに増したり、組み合わせることでも相乗効果が出ます。
例えば真っ赤に熟したトマトが、若いトマトよりも美味しいと感じたことはありませんか?
トマトは熟すことでうま味成分の1つであるグルタミン酸が増加し、美味しさもアップするんです!
チーズや魚、肉類なども同様で、含まれているタンパク質が発酵や熟成の段階で分解されるため、グルタミン酸が増加してうま味も増すと言われています。
このように熟成とうま味成分には深い関係があるんですね。
そして、うま味成分の組み合わせを工夫すると、単独で食べるよりも強く美味しさを感じることができます。
では、「うま味の相乗効果」をもたらす具体的な組み合わせや、相乗効果のメリットをご紹介していきましょう。
うま味の相乗効果を生む組み合わせとは?
グルタミン酸(海藻・野菜) × イノシン酸(肉・魚)や、グルタミン酸(海藻・野菜) × グアニル酸(干し椎茸)といった組み合わせは、うま味の相乗効果の例として広く知られています。
基本的に野菜を含めた肉料理や魚料理なら、意識せずにうま味の相乗効果を利用できますね!
研究によると人間はグルタミン酸 × イノシン酸の組み合わせに対し、単独で味わうときと比べ8倍近いうま味を感じるということがわかっています。
また、食材の中ではグルタミン酸を多く含む昆布とイノシン酸を多く含むかつお節の組み合わせが、うま味の高い相乗効果を生むとされています。
さらに相乗効果を意識するなら、グルタミン酸とイノシン酸の割合を「1:1」にするのがおすすめです。
例えば昆布と鰹節の合わせだしでお味噌汁を作る場合は、味噌にもグルタミン酸が含まれているので、配合の割合を考えて作ると効果的です。
後ほど、さらに具体的な組み合わせの料理例もご紹介します!
うま味の相乗効果によるメリット
うま味の相乗効果は、料理の美味しさがアップするだけでなく、栄養面や健康面で
も多くのメリットがあるため注目されています。
減塩効果
塩分は摂りすぎると高血圧や生活習慣病などにつながってしまいます。
そのため塩分量の調整は大切ですが、塩味が損なわれた料理は美味しさも半減し、続けることが難しいですよね。
うま味の相乗効果を活用すると、ナトリウム量はほぼ増加せずに味の満足感がアップするので、美味しさはそのままに健康的な食事を楽しむことができます。
ダイエット効果
うま味を上手く利用すれば、少量の食事でも満腹感が生まれ、塩分も控えめになることでむくみも減るためダイエットに効果的です。
過度な食事制限はストレスがたまってしまいがちなので、うま味の相乗効果でさらに満足感を得られれば、ダイエットの継続もしやすいですね。
唾液の分泌量アップ
うま味成分には、唾液の分泌を促進させる効果があり、食べ物を消化する働きや虫歯を防ぐ効果、細菌が体に入るのを防ぐ働きが高まります。
高齢者の味覚障害やドライマウスが改善されたという報告もあります。
相乗効果を得ることでさらに効果が期待できるため、ぜひ試してみてください!
うま味の相乗効果を活かす料理例や「だし」の取り方
うま味の相乗効果は決して難しいものではなく、少しの意識によって簡単に取り入れることができます。
実際の料理例とあわせてご紹介したいのが、日本料理としてお馴染みの「だし」の使い方。
「だし」は、天然素材からうま味成分を抽出した優れものなんです。
料理の下味にプラスするだけでうま味が格段に上がる「だし」の種類や使い方を理解して、日々の料理をレベルアップさせましょう!
相乗効果を活かした料理例
グルタミン酸×イノシン酸
和食の代表的な料理といえば、先ほどもお話しした昆布×かつお節でだしをとったお味噌汁。
洋食や中華であれば、人参や芋類などの野菜×牛肉のポトフや、キャベツ×豚肉の餃子などは相乗効果が働くのでおすすめですよ!
その他にも、魚介類×野菜のパエリアやネギ×鶏でできた白湯スープなど世界各国の料理に相乗効果が活かされています。
グルタミン酸×グアニル酸
グアニル酸を含む食材はそれほど多くはありません。
しかし、昆布×干し椎茸を使っただしや、佃煮、煮物などの和食はしっかりと相乗効果を活かした料理になります。
代表的なだしの種類
だしにはさまざまな種類があり、含まれるうま味成分も異なります。
ここでは代表的な4つのだしについてご紹介します。
かつおだし
和食のベースとされるだし。
香り高くすっきりとした味わいが特徴。
イノシン酸を含むため、野菜料理(グルタミン酸)の下味として使用するのがおすすめです。
昆布だし
かつおだしと合わせた「合わせだし」はうま味の相乗効果を発揮します。
上品なうま味で素材の味を活かすことができ、グルタミン酸を含むためイノシン酸を含む魚や肉の下味として使用するのもおすすめです。
煮干しだし
コクのあるうま味が特徴。
かつお節と同じイノシン酸を含み、かつおだしより酸味が弱く強い香りを持ちます。
椎茸だし
グアニル酸を多く含み、風味が強く、他のだしと合わせて使うことが多いです。
椎茸そのものの香りを生かした料理におすすめです。
基本のだしのとり方・使い方もチェック
だしをとるのは手間だし難しそう…そう感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
つい手頃で簡単な顆粒だしを使ってしまいがちですが、丁寧にとっただしはうま味や香りが格段に違います。
基本的なだしのとり方を覚えて、ぜひご家庭でも実践してみてください!
かつおだし
- 鍋に水1L入れ、火をつけて沸騰させる
- 沸騰後、火を止めて鰹節30gを入れる
- 鰹節が鍋底に沈むまで1〜2分置く
- 布巾などを敷いたザルで静かにこす
※かつお節を絞ると、えぐみが出てしまうのでやめましょう
昆布だし
- 堅く絞った濡れ布巾で、昆布の表面を軽く拭く
- 鍋に水1Lと昆布10gを入れ、1時間ほど置く
- 中火にかけ、沸騰直前で火を止めて昆布を取り出す
※強く擦るように水洗いすると、うま味が流れてしまうため気をつけましょう
煮干しだし
- 煮干しは頭と腹わた部分を取り、大きいものは縦2つ割りにする
- 鍋に水1Lと煮干し10gを入れ、30分ほど置く
- 中火にかけ、沸騰直前で弱火にしてアクが出てきたら、すくい取りながら10分ほど煮出す
- 布巾などを敷いたザルで静かにこす
※沸騰させると臭みが出てしまうため、火加減に注意が必要です
椎茸だし
- 干し椎茸をさっと洗い、汚れを落とす
- 水1リットルに干し椎茸30gを浸して、冷蔵庫で一晩置く
- 布巾やキッチンペーパーなどでこす
※干し椎茸はお湯で戻すとうま味成分が減少します!水につけてゆっくりと戻しましょう
これらの「だし」は、お味噌汁や料理の下味だけでなく様々な場面で使うことができます。
パスタを茹でる時や、餃子を蒸す場面などで、水の代わりにだし汁を活用するのも味わい深くなっておすすめです。
例えばイノシン酸を含むかつお節でパスタを茹で、グルタミン酸を含むトマトでソースを作るというのも良いですね。
リセライーツの「おかず・お惣菜セット」でも、朝1番にとれただしを使用することで、風味豊かな味わいになっています。
かつお節と昆布でできた合わせだしによって、うま味の相乗効果が発揮され、素材の美味しさがより引き立つよう工夫されています。
うま味成分は美味しさそのままに減塩ができるため、身体にもうれしいですよね。
ぜひお試しください!
うま味の相乗効果を利用して、料理を美味しく健康に楽しもう!
「うま味」は、「甘味」・「塩味」・「酸味」・「苦味」と共に「基本味」と呼ばれる味の1つです。
うま味成分を構成する成分には「グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸」があります。
グルタミン酸は昆布などの海藻類やチーズ、トマトなどの様々な食材に、イノシン酸は魚や肉、煮干しやかつお節に、グアニル酸は干し椎茸などの乾燥させたきのこ類に多く含まれています。
グルタミン酸(海藻・野菜) × イノシン酸(肉・魚)や、グルタミン酸(海藻・野菜)× グアニル酸(干し椎茸)といった組み合わせは、単独で食べるよりも美味しさを感じやすく、「うま味の相乗効果」と呼ばれています。
とくに昆布やかつお節などでとった「だし」は、利用すれば料理の美味しさが格段に上がるため、おすすめです!